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makimikanの料理と日常と

 

美味しい煮物を作るには、素材の特徴を活かす事が大切です。 煮物の味付けのレシピなんて殆ど役に立たない 

 

煮物上手は料理上手

 

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今日のテーマは「煮物上手はお料理上手」

煮物上手になる為の基本である煮物の炊き方です。

煮物を上手に炊くコツには、味付けそのものよりも大事な事があります。

 

➀下ごしらえ

②素材に合わせた調理法

③調理工程での味見

この3点です。

 

良く一般的に言われるのは

 

「煮物は味を含ませる為に一日寝かせた方が美味しい」

「煮物は出来上がってから冷める途中で味が染み込む」

「根菜類は下茹でをしてアクを抜いたほうが良い」

 

等があります。

ですが、実はこれらは全てに当てはまる訳ではありません。正解でもあり、不正解でもあるです。

 

 

【プロの料理人が作る、炊き合わせ】

 

「炊き合わせ」というお料理はご存知でしょうか?

 

日本料理の板前は、素材事に調理法を替えて煮物を作ります。

それぞれに下処理と、味付けを施した個々の煮物を盛り合わせた料理の事を「炊き合わせ」と呼びます。

 

家庭で作る「肉じゃが」や「筑前煮」等のいわゆる「ごった煮」は、まかない(従業員用の食事)で作る事はあっても、料亭や割烹で出すことは殆どありません。(常連客からのリクエストがあれば作ったりもします)

 

 

 

【煮物は味を含ませた方が良い。は間違い】

 

「煮物は味を含ませた方が美味しい」これは多分、少しでも煮物を作った経験のある方や、料理に興味がある方ならご存知なのではないでしょうか?

 

理論的には間違ってはいません。実際に出来上がってから冷ます過程で味を含ませる「含め煮」は大根やごぼう等の根菜類に特に多くみられます。

 

ですが、南瓜(かぼちゃ)やじゃが芋等の、でんぷん質の多い野菜は出来立てが良い場合もあります。

でんぷん質の多い野菜は出来立てが一番美味しく、ホクホクとした食感と素材の甘味が味わえます。

この出来立ての煮ものの事を「煮えばな」と言い、一度煮汁の中で冷ましてしまったり、温め直した物では二度と味わう事が出来ません。

 

私、個人的には肉じゃが等も「煮えばな」が、じゃが芋のホクホク感が味わえる一番美味しい食べ方だと思います。

 

 

【全ての根菜類は下茹でをしてアクを抜いた方が良い。は間違い】

 

これは、野菜が採れる季節や鮮度にも関係してきますが、例えばお出汁で大根を炊く場合には大根の下茹では基本です。

 

プロの料理人は、大根の下茹でに白水(お米のとぎ汁)を使用しますが、これは大根が持つ独特のクセを取り除く効果があります。

 

ただ単に水から茹でるだけでも十分な効果は期待ができるのですが、直接大根を炊いてしまうと大根の独特なクセが煮汁に溶け込んでしまい、煮汁が濁り全体味のバランスも壊れてしまいます。

 

ですが、これは「風呂吹き大根」のような、お出汁がたっぷりの煮物の場合で、風呂吹きの場合は1度冷まして素材に味を含ませる事は必須。

 

大根の皮や、周りの硬い所を使った「大根のきんぴら」等の料理は、直に炊くほうが大根の風味と食感が活きてくるのです。

 

また、里芋や海老芋(京野菜の一つ)を炊く場合でも、お出汁で炊く場合は白水で下茹でが基本。

お出汁を使用せずに、お芋の風味を活かす場合は直炊きする場合もあります。

 

 

 

【煮物の味付けのレシピなんて殆ど役に立たない】

 

これも、料理の味付けの基本ですが、「さしすせそ」という言葉がありますよね。

さ:砂糖

し:塩

す:酢

せ:しょうゆ

そ:みそ

等、これらは食材に味を浸透させる順番ですが、特に気にする必要はありません。

 味が薄いと思えば調味料を継ぎ足し、濃いと思えば薄めるだけの事。

 

煮物は煮汁に浸しておく事で「出来立て」➡「しばらく置く」➡「冷ます」➡「1日置く」➡「温め直す」・・・等、味は常に変化して行きます。

 

例えばある野菜の煮物のレシピに

出汁:800㏄

醤油:100㏄

みりん:100㏄

があるとします。

 

しかし、素材にどれだけの時間をかけるかで、同じレシピでも全く違う煮物が出来上がる事になります。

 

ちなみに「さしすせそ」の「そ」はお味噌の事なのですが、「サバの味噌煮」は臭みを抑える為(大豆のタンパク質効果)にお味噌を最初に入れる場合もありますし、他の魚介類、牡蠣(かき)や鯉(こい)等を煮る時もお味噌は先に入れます。

 

 

【最後に】

 

煮物に限らずですが、やはり一番大事なのは調理過程での味見。 煮物のレシピはあくまで目安であまり頼らない事が料理上手の秘訣です。

 

 

 

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「風呂吹き蕪(かぶ)と厚揚げの田楽」

しっかりとお出汁の味を染み込ませた蕪(かぶ)の煮物。

お味噌は赤みそベースの練り味噌「玉味噌」ですが、京都より西日本側では「西京味噌」を使用した玉味噌が主流。

 

 

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 「西洋南瓜の含め煮」

甘味がありホクホクとした食感の西洋かぼちゃの煮物。日本古来の「日本かぼちゃ」ではこの食感にはならない。「煮えばな」が美味しい一品です。

 

 

 

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「肉豆腐」

居酒屋の定番ですが、お酒よりもご飯のおかずに最適ですよね。

 

 

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「鶏肝の時雨煮」

生姜を効かせて甘辛く煮付けた物。 鶏肝は熱を加え過ぎると硬くなるので、一度取り出して煮汁を煮詰めて行きます。

 

 

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「芋炊き」

これも煮物で、筑前煮等と同じくいわゆる「ごった煮」。

あっさりしたお出汁と一緒に食べる煮物です。

 

 

Makimikanでした。